2006年05月25日

投手失格の前兆

前回の続きです。

2003年7月

『僕、ピッチャーはもういいよ・・』

ポロリと出た言葉に私は絶句した。
ずっと沈黙が続く。次の言葉が出てこない。

そしてゲンジの顔には薄っすらと涙が・・

父親と監督の狭間に揺られ続けた。
嫌気がさしたのか、疲れたのか?

この時まだ5年生。「楽しむ野球」でも良かったのかもしれない。
だが不幸な事に、ゲンジの父は「他の子に負けるな!」の性格。

いつしかゲンジは、野球を義理で参加している気分だったのかもしれない。

ピッチャーの事についてもそう。
前年の秋に監督から指名されて始まったピッチャーへの挑戦。
自分からやりたいと言った訳ではない。

そこへ父親が熱心さのあまり特訓の日々。
だが当の本人は、他人を押し退けてまで自分が中心に。という性格ではない。
そして他のピッチャー候補が台頭してきた。

これらの事が瞬時に頭をよぎった。
冒頭のゲンジの台詞が出てくる条件は揃っている。

残念ながらこの時、ゲンジには投手として必要なハートが備わっていなかった。
『俺が投げる!』 こうした気質が無いと、ピッチャーというのは無理かもしれない。

やれと言われれば、それなりにこなしてはきたが、
ここから先はそれでは難しい。
すり足投法云々より、根本的部分でこれでは投手失格だろう。

私はゲンジの申し出を受け入れたほうがいいのか?
それとも気合を入れ直し、自力でエースの座を奪うよう檄を飛ばすか?
この2つを頭の中で考えていました。

どちらがいいのか??・・・

でも私はどうしても諦めきれない気持ちが強かった。
「このまま引き下がれるか!」 という自分がいる反面・・

でも涙顔のゲンジを見ると、「お疲れ様。じゃあ違うポジションで頑張ろう」
と言いたい自分もいる。 悩んだ・・ どうしたらいいのだろう?

別にすぐ結論を出す必要もないので、しばらく様子を見る事にした。
もしピッチャーに未練があれば、自分から投球練習をしたいと言うだろう。
でもその未練が無ければ、それはそれで受け入れよう。そう思いました。

それにしても息子がそこまで思い悩んでいたとは・・
ちょっとショックでした。

当時はこうした親子での温度差があった時期。
私が自分本位で進めていた自主錬も、これでいいのか?
と改めて思いましたね。

翌週のチーム練習もゲンジに登板の声はかからない。
また平日の自主錬でも、ゲンジは投球練習の事は口に出さない。
これでもう完全にピッチャーは終わったな。そう考えていたのですが・・

7月の最終週、隣の学童チームとの定期戦がありました。
「じゃあ投げません」 と宣言してから2週間が過ぎていた。

試合前のオーダー発表。監督が順に呼び上げていく。

『5番 ピッチャーゲンジ』

続きは後日。
この記事へのコメント
ウチのK太もいまは「ピッチャーをやりたい」と言っていますが,どう考えても「投手に必要なハート」がちょっと不足しているような気がしています。
でも,親としては「やらせてやりたい」

K太はまだ実戦を経験していませんから,これからどうなるかわかりませんが,このゲンジくんの登板の意味は?
最後のチャンスだったのでしょうか?う〜ん。

しっかし毎回,ちょうどいいところで引っ張るんだよなあ。最近,ドラ夫さんはサディスティックなところがあるんじゃないかと思えてきました。
Posted by K太父 at 2006年05月26日 06:20
何だか訳がわからなくなってきましたねー。練習させていないポジションでの起用は?ですね。お灸を饐えたということでしょうか?ゲンジ君の心中を慮ると・・・。判らないです。
Posted by 星 十徹 at 2006年05月26日 07:12
>野球を義理で参加している気分
ここから脱出出来ないと伸びませんね。

>父親が熱心さのあまり特訓の日々
>ゲンジの父は「他の子に負けるな!」の性格

これがあったからこそ、今のゲンジ君がいると思いますよ。

子供が悩む姿を見て親も悩む・・・子供に教えられる事、考えさせられる事、本当に多いですね。
真剣に一緒に悩んで考えてくれる親がいる子は幸せだと思います。
Posted by ハッシー at 2006年05月26日 11:11
ドラ夫さん、もーーーう!!また続きですかぁ〜!!しかしドラ夫さん読者を引き付けるのうまいですねぇ!!つぎを早く聞きたくてたまりません。
しかし私も時々思います。こんな小さな子を野球付けにしてしまって、こいつはほんとに好きでやってるのかな??って!!
Posted by リナケイパパ at 2006年05月26日 11:16
続きは後日・・は、ドラゴンボールでさんざん鍛えられたことを思い出して我慢します。でも、今回のお話は考えさせられました。うちの息子の5年生のときを思うと、ゲンジ君のように心に葛藤があり、それに耐え、隠すことなど想像もできません。あまりに痛々しい。好きな野球のことですから、なおさらです。・・・ということで、あと何回で解決するのでしょうか(泣)?
Posted by どかべん at 2006年05月26日 12:55
ドラ夫さんの苦悩・・・
親と子の温度差・・・
みなさん経験されているんですねぇ〜。
私個人的には一安心です^^
Posted by さとる at 2006年05月26日 13:32
ここで先発指令ですか! 監督さん、思う所があってのこの2週間だったのか? 結果は? 気になって仕方ありません…
Posted by ズンドコ節 at 2006年05月26日 15:12
※少年野球ブログ界で、唯一無比の予測不能熱血指導物語り。『DORAO NOTE』

こんな感じでコミック化されませんかね?
デスノートも終わった事だし(^O^)
Posted by シャドウP at 2006年05月26日 15:20
監督の真意が・・・私には分かりません。
続きを早く読みたいです!
うちの弟君はピッチャーにこだわり持ってませんでしたから1番か2番が打てればいいでしたから・・・
Posted by 背番27 at 2006年05月26日 15:56
お〜、またまた次を期待させる終わり方。
ドラ夫さん、憎いねぇ(笑)
早く続きをお願いしま〜す。
Posted by baseball-oyaji at 2006年05月26日 16:11
ドラ夫さん、こんにちは。
父と子の温度差。身にしみてます(笑)。 後から考えると可哀想な事したなぁ。。。と思います。子は父の期待に応えたいと思って頑張るけど、我慢できないところまで来てしまうと、もうどうしようもなくなっちゃうんですよね。多かれ少なかれどこの親子にもあることなんですね。。。。その当時のことを思い出しました。
それにしても、ストーリー展開はジェットコースターみたいにあがったり下がったりですね。(笑)
Posted by ガッツ at 2006年05月27日 15:21
「あ〜またここで終わりか〜」
読者の残念がる顔を思い浮かべてながらの執筆
ドラ夫さんって、Sですか?^^

監督さんの思いが複数ありそうな起用ですね。
どちらにしても、この当番が5年生最後になるのでは?そんな予感がします。


Posted by metoo at 2006年05月27日 15:53
監督の気持ちがわかりません。
次回までなんかモヤモヤです。
Posted by Skyboys広報 at 2006年05月27日 22:44
K太父さん こんばんは。

ピッチャーは気持ちが大切なポジションでしょうね。
幾ら技術が備わっていても、ここが欠けていると伸び悩むでしょう。
K太君はまだこれからです。ミットも買ったことですし、地道に投球を受けてあげてください^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 18:51
十徹さん こんばんは。

意外な起用でしたね。確かに。
干されていたと思ってましたから・・
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 18:53
ハッシーさん こんばんは。

親の関わり方はまちまちでしょうが、私はこれまでのやり方に悔いはないです。
子供の意志を尊重するのも勿論大事ですし、自分一人で目標に向かい、強烈に努力する子も中には多いと思います。
でもそこまで自分で出来ない子には、親がそれなりのアシストをするのは有りでしょう。

試合で活躍しなくてもいい。そうした考えなら別ですが^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 18:58
リナケイパパさん こんばんは。

うちは親子練習を始めたのが小3の時です。
それと比較すると、リナケイパパさんの所はかなり早いですね^^
年齢に応じて、無理のない練習計画なら問題はないと思います。
あと秘訣とすれば、「褒める」事ですかね。
私は子供の指導は褒める事から入るのが一番だと思ってます。
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:02
どかべんさん こんばんは。

このカテゴリの終わりですか? あと何回でしょうね??
まだ7月ですから、もうしばらくこの5年生編は続くと思います^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:04
さとるさん こんばんは。

どこの家でも苦悩はあるでしょうね。
でもそれを克服した時の喜びは、また格別です!
だから止められないのかな?^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:06
ズンドコ節さん こんばんは。

ここで快投を魅せるか? ピッチャーとしての引導を渡されるか? 次回にご期待!^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:08
シャドウPさん こんばんは。

『DORAO NOTE』ですか??
多分連載しても、3回目位に「ご愛読ありがとうございました」 
って感じで打ち切りになるでしょうね^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:12
背番27さん こんばんは。

ピッチャーに拘りを持たない子、結構多いんですよ。それが私には意外です。
昔は誰でもピッチャーをやりたがったものですが^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:14
baseball-oyajiさん こんばんは。

話の成り行きというか、文字数が適度に埋まったら、後は「続き」にしているんです^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:17
ガッツさん こんばんは。

この5年生・6年生という時が、一番難しい年頃かもしれません。
中学に行けば ある程度は自分の意志を持てますし、低学年は親に従順な部分があります。
その過渡期がこの5年生編です。
振り返ってみると、行き過ぎた部分もあったかな? と反省も出ます^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:25
metooさん こんばんは。

>この当番が5年生最後になるのでは?そんな予感がします。

答えを言うのは反則かもしれませんが、これが最後ではありませんでした。
ちょっと楽しみが減りましたかね?^^
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:52
Skyboys広報さん こんばんは。

監督は色んな部分を見たいため。また、何かの期待を感じていた。そんなところじゃないでしょうか?
Posted by ドラ夫 at 2006年05月28日 19:54
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック