2006年03月09日

一瞬の夢

前回の続きです。

2003年6月

1対0でリードした最終回の守り。

リズムに乗ったピッチングでここまでは上々。
しかもここまでノーヒットの快投を演じている。

こんな状況の時、周囲はどういった感じなのだろう?

イケイケで盛り上がるのか?
それとも緊張感で静まりかえるのか?

この試合は後者でした。

保護者同士、一緒の場所で観戦していましたが、
誰一人、ノーヒットを煽るような声は出なかった。

皆々が心配そうな顔つき。軽口を叩く人もいない。
どちらがリードしているのか分からないほど。

相手の監督は大声で檄を飛ばしている。
それを尻目に、淡々と練習球を投じるゲンジ。

自軍のベンチも動きがあった。
守備に不安のある選手を2人交代。 守備固めの作戦。

私はゲンジの心中を考えた。ゲンジの性格からして、
この場面は欲を出さないだろう。いつもと同じような感覚のはず。
だから無安打を意識させるのは、ゲンジの場合は逆効果。

周囲もそれを察しているのか、監督や選手の口からは、
敢えてその言葉は出ていない様子。

この試合、Aチームの父兄と指導者も観戦していました。
そのAの監督が押し殺すような口調で一言。
『ここまできたら、なんとか達成させたいな・・』

私の本音もそこにあった。でもまだ勝利が決まった訳ではない。
プロの試合でも、偉業達成寸前での逆転負けの例もある。

不安一杯で迎えた試合が、まさかこんな展開になるとは。



だが抱いた期待は儚くも消えた・・

先頭バッターの初球、見事センター前に運ばれた・・・

ノーヒットノーランならず。しかも同点のランナーが出る。
一気にピンチに追い込まれた。しかしこの後の光景が・・・



監督とKコーチがニコニコ顔でナインに叫んだ。
『ドンマイ ドンマイ!』 『みんな! 楽に行こう!』

つられて選手達も笑顔。そしてそれまで黙っていたのが嘘のように、
皆が大声をあげはじめた。

更には応援席の保護者達も、緊張から解放されたのか、
大きな声援を送るようになる。
ヒットを打たれた事が、逆に皆の心を一つにした感じか?

次打者は凡退だが、その後にまたヒットを打たれる。
1死1・2塁。長打が出れば逆転の場面。
だが不思議な事に、周囲はそんな緊張が見えない。

選手と保護者が一体となり、野球を楽しんでいた。

その後は後続を断ち切り試合終了。 1対0で初戦突破。
被安打2 与四球1の完封勝利でした。

フォーム改造という賭けは一応成功。
試合の勝利を喜ぶ以前に、私はまずこの「すり足投法」が成功したのが嬉しかった。

ノーヒットノーランは一瞬の夢に終わりましたが、
そんな悔しさは微塵にも感じませんでした。

しかしゲンジのこの後の野球生活で、この快投そのものが「一瞬の夢」になろうとは・・
その時は予想すら出来ませんでした。

続きは後日。


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